まっぷたつに切り裂かれ、今にも地面に墜落しようとしていたイン・フレイムス
が、突然スパインシャンク
に引き寄せられた。そして、そのまま翼は背中に、左右のレールガン
は左右の腕に、それぞれ固定されたのだ。
つまり、
「合体した!?
」
「イン・フレイムスももとは超古代文明の作り出した船。もとは、十二神体
のオプションだったとしても、あり得ないことではない」
オヤジ
(のホログラフ)が、絶妙のタイミングで解説する。
「オーブ
の力を引き出したか、カズマ
よ」
「なんだかよく分からんが、今度こそ五分と五分だっ」
イン・フレイムスの翼をかりて、スパインシャンクも飛翔する。拳は破壊されたが、両腕に接続されたレールガンにエナジーシールドを帯電させて撃てば、かなりの威力があるはずだ。
「いいかげん目を覚ませ、カズマ。このような星を護ってどうする」
「当然だろっ。地球はオレの故郷だぜ」
「オマエの真の故郷は銀河帝國。ここにいても、オマエは利用されるだけだ」
「オレはただ、平凡な人生が欲しいだけなんだよっ」
スパインシャンクは両腕のレールガンを放つが、素早く動くシルバーシュタイン
をとらえることは出来ず、いたずらに天井を破壊するだけだ。
「くそっ」
ティンバランド
の言葉とこの状況に、オレの苛立ちが頂点に達した瞬間、
「ここまでだ」
一瞬の隙をついて、シルバーシュタインが懐に飛び込んでいた。
「共に来い、カズマ。兄はオマエのためを思って言っているのだ」
気がつけば、シルバーシュタインの手刀が、スパインシャンクの肩を貫いていた。
「アンタの気持ちは分かるけどね。あいにくオレは、この生活が気に入ってるんだ」
その時には、スパインシャンクのレールガンもまた、シルバーシュタインの肩を撃ち抜いていた。
二つのロボットの片腕が地面に落ちるのは、ほとんど同時だった。
「見事だ、カズマ。僥倖だとしてもな」
「マグレかどうか、もう一回試してみるかい」
次の刹那、二つのロボットはお互いに距離をとっていた。
シルバーシュタインが、片腕で構えをとる。その姿は兄の剣の構えと寸分たがわない。
「オマエは戦闘の訓練を受けていない。神体の扱いについても同じだ。だとしても、もはや手加減はない。オマエに王家の血を自覚させるためにもな」
兄はここにきて、ようやく本気になったようだ。
そうなると、さっきのマグレ当たりも二回続くかどうか、怪しくなってきた。
「買いかぶり過ぎだぜ、アニキ。オレはただの地球人さ」
減らず口とは裏腹に、覚悟を決めるべきかと思ったその瞬間だった。
「わらわの寝所で何を騒いでおるか」
朗々たる声が響き渡った。
次の瞬間、大きな地鳴りと共に、すぐ足下の地面が崩壊を始めた。
オレ達は思わずデヴィン
の方を見たが、
「今度はなんにもしてませんよっ」
デヴィンがあわてて手を振る。
地鳴りは大きな地震となり、今度は地面が大きくせり上がり始めた。
そして、目の前に現われたのは、あまりに巨大な神殿を思わせる建築物。さらに、そこに安置されたあまりに巨大な石像、いや、
「ロボット
なのか……!?」オレは思わず声を出した。
「間違いなく十二神体のひとつだ。シグナルを感じる」ティンバランドがそれに応じる。
「ああ、オレにも感じられるようになってきた」
ようやく、オレの体内のオーブの使い方についてわかり始めたオレは、新たに現われた巨体に、シルバーシュタインと同じなにかを感じていた。
「何事じゃ、騒々しい」
その神体の足下に、一人の女性
が現われた。その姿には、確かに見覚えがあった。
「おぬしか、わらわの眠りを妨げるのは」
女性はオレを見下ろして言った。
間違いなく、あのカプセルの中に入っていた人物だ。
「ずいぶんハデに暴れ回ったようじゃのう」
おそらくはこの遺跡のあるじであろうこの女は、あたりを見回して言った。
確かに、あの戦闘のせいで、天井も半分以上が崩れ落ちている。おそらくは遺跡全体が惨憺たる有様になっているだろう。
「まあよい。それよりも問題なのは、」そう言って、女は再びオレの顔を見た。
「百万年ぶりに目覚めてみれば、我が子孫はこのような間抜けヅラになっておるとはのう」
「余計なお世話だっつーの。だいたい、何で子孫だってわかるんだよ」
「当然であろう、この神殿の警護装置を解除できるのは王家の血をひくもののみ。それに、」
女は見上げて、
「変わり果てた姿になってはおるが、これはおそらくスパインシャンクのようじゃ。こっちのシルバーシュタインや、わらわのサーカ=サバイブと同じく十二神体のひとつ。王家の血族にしかオーブを動かすことはできぬ。それを護る神体もまたしかりじゃ」
「じゃあ、アンタはオレのご先祖様というわけだ」
そう言うオレの言葉をさえぎるかのように、
「ご尊顔を拝し、光栄の至りに存じます、女王陛下。不肖の名はティンバランド、現銀河帝國第一王子にございます。こちらにひかえるは小弟カズマ、礼をわきまえぬ者ゆえ、御無礼の段は平に御容赦ください」
そう言って、ティンバランドはうやうやしく臣下の礼をとった。
「おぬしは、多少まともな口がきけるようじゃな。わらわの名はデズリー、地球帝國最後の女王にして、銀河王國初代女王じゃ」
「最初にして最後の女王=B伝承の通りだな」オヤジが口を挟む。知ってんのなら、最初から説明しとけよな。
「おぬし、ティンバランドと申したな。諍いの原因が何かはわからぬが、今は剣をおさめよ。このカズマとやらは、おぬしを相手にするにはどう考えても未熟」
「お言葉ですが、女王陛下。この者はあまりに愚直ゆえ、今の自分の置かれている立場がわかっておりません。我が帝國に連れ帰り、物事の道理というものを教育し直す必要があります」
「ふむ、愚直であることには違いないようじゃが」
黙って聞いていると、えらい言われようだ。
「できましたら、陛下。御身も、ともに我が帝國まで、ご光臨を仰ぎたいのですが」
「おぬしの言い分もわかぬでもないが、わらわもこの時代には不慣れじゃ。持ち合わせる情報があまりに少ないゆえのう。それに、この星はもとより我が故郷、何もわからぬまま去るのはしのびがたい」
デズリーは、そう言ってからオレを指し示し、
「この者もどうやらここに残りたがっておる。わらわもこやつとともにこの星に残り、我が國を見極めたい。その上でもし、おぬしの言葉が正しければ、その時はわらわがこやつを連れてまいろうと思うが、いかがかや」
「そこまでおっしゃるのなら、もはや何も言いますまい」
「うむ。どちらにせよ、おぬしも難しい舵取りを迫られることになろう。いつの時代も、宮中は諍いのたえぬゆえ。心中、察するぞ」
「お心遣い、痛み入ります」
そう言ってティンバランドは、深く礼をしたあと、
「聞いての通りだ、カズマ」
「ああ」
「いったんは、退くが……、いや、今は語るまい」
「アンタが、頑固なのはよくわかってるさ」
「フ……」
ティンバランドは複雑な笑みを浮かべてから、きびすを返し、臣下のデヴィン・キャンベルとともにシルバーシュタインに向かった。
そして、去りぎわに、
「カズマよ、血とは不思議なものだな。オマエは、王のなんたるかを知る機会さえなかったというのに、自然にその本質に近づいている」
オレは、その言葉の意味について深く考えぬまま、何となくうなずいただけだった。
「カズマさんっ、ご無事で何よりでした」
ようやく全てが終わったかと思った時だった。
今まで何もすることのできなかったフェイス
が、オレの手にすがりついたかと思うと、オレの手をつかんだまま、地面にへたり込んだ。
「見事な采配でしたわ、カズマ様」
シアラ
も畏敬のこもった会釈をする。
この2人の顔を見て、オレは何か忘れているような気がしたが、
「やれやれ、タイヘンな目にあったねぇ」
背後で声がして、オレ達は振り向いた。
「ツィート
さんっ」
「生きていらしたのですね」
シアラとフェイスが、同時に驚嘆とも落胆ともとれる声を上げた。
「どうやら無事なようだな」
オレも声をかける。いつのまにかその存在をすっかり忘れていたことは、もちろん口にする気はなかった。
「オマエには、もう少し感謝してもらいたいもんだねぇ。ヤツのロボットと互角に戦えたのは、私の船のおかげなんだからな」
そう言ってツィートは自慢げに腰に手をやる。
「かもな」
オレはそう答えただけだったが、ツィートは意に介さぬかのようにデズリーの方を仰ぎ見て、
「それにしても、また変なのがふえたねぇ」
「女王に向かって変なの≠ニは何事じゃ、無礼者め」
ツィートは、そのデズリーの言葉も意に介さぬように、今度はスパインシャンクを見上げて、
「私の船とくっついた以上、所有権の半分は私にあるんじゃないのか?」
「ありませんっ」
「即刻、切り離しますわっ」
ツィートのとんでもない言葉に、フェイスとシアラが、口々に反論する。
さらには、
「何を言うか。カズマもスパインシャンクもこの星も、全ては女王であるわらわのものじゃ」
デズリーまでも余計なことを言い出した。
「あとからのこのこ出てきて、何えらそうなこと言ってんだよ」
「えらそう≠ナはない。偉いのじゃ」
そんなくだらない会話の向こうでは、
「どこへ行った!? まだ勝負は終わっていないぞっ」
ようやく目を覚ましたらしいヨー・ヨー
が、とっくに帰ってしまったティンバランドの姿を探している。
あいかわらず騒がしいこの連中の様子を見ているうちにオレは、
「……なんだか、ティンバランドの言ってることのほうが正しい気がしてきたぜ」
判断を誤ったような気がしないでもなかった。
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壮大な展開なのに、良く分かるのがおいちゃん嬉しかったりしてw(ノ∀`*)ペチ
忙しい中の執筆ご苦労様です♪ペコリ(o_ _)o))
お兄ちゃんの登場と再会も違和感無く!
とっても楽しめました♪(★-`ω-)bキッパリ!
ドタバタとシリアスの使い分けが、スパイスになってて読みふけってしまいました♪
続きは、首を長ぁ〜くして待ってますので宜しくお願いしますね♪
女王様も結構茶目っ気があって楽しそうな予感♪((嬉´∀`嬉))ポョョン♪
でわでわ♪(*´ヮ`*)ノ またなのですぅ〜♪
今回は、詰め込むべき情報や登場人物の数が異様に多くなり、このボリュームとなってしまいました。
その分、記述が足らずわかりにくい部分もあったかとは思います。
続きを書くのにこれだけ時間がかかったのは、執筆そのものより、シルバーシュタインとサーカという2体の新ロボットのモデリングに時間がかかったためです。
次回はヨー・ヨーがメインの話でかなりゆるい内容になります。
もうしばらくおつきあいください。